なんとなくチャートを見たり、ニュースを聞いてなんとなく売買して勝ち続けられるほど、FXの世界は甘いものではありません。
自分の注目している通貨の現状を客観的に分析できる「テクニカル分析」という手法を学んでFXの世界で一段階レベルアップした投資家になってみませんか?
テクニカル分析の手法は多数ありますが、ここでは基本的なテクニカル分析の手法を活用した現状分析や売買のタイミング把握などをご紹介します。
テクニカル分析とファンダメンタル分析
FXの取引手法は大きく分けて2種類あり、今回ご紹介するテクニカル分析とファンダメンタル分析です。
テクニカル分析
テクニカル分析とは過去の値動きを表したチャートを基に、現在のトレンドや今後の値動きの予測を立てる手法です。分析結果から「買い」「売り」の判断や、エントリーのタイミングを図っていきます。
これらを把握するための様々な指標が開発されており、FX会社によって提供される指標に若干の差はありますが、基本的な指標などのFX会社の取引ツールやアプリでも提供されています。
ファンダメンタル分析
テクニカル分析と対をなす手法がファンダメンタル分析です。ファンダメンタル分析は経済情勢や政治情勢、将来的な為替予測などに基づいて投資判断を行う手法です。
テクニカル分析がチャートという過去の値動きが判断基準であるのに対して、ファンダメンタル分析は各国の発表する経済指標やニュースが判断基準となります。
勝率の高いトレーダーはどちらか一方の手法に絞ることは少なく、両方の手法を組み合わせて投資判断をしています。
代表的なテクニカル分析手段
ここでは基本的かつ代表的な5つのテクニカル分析手法を紹介します。
いずれも基本的なものになりますが、一流のトレーダーもこれらの手法をメイン使っていることが多いので、しっかりと使いこなせれば十分にFXの世界で勝負できるようになるはずです!
移動平均線
テクニカル分析における基本中の基本とも言える指標であり、全世界のトレーダーたちが使っている指標と言っても過言ではありません。
移動平均線は一定期間の平均価格を算出してその数値を線でつないだものになります。移動平均線が上向きであれば上昇トレンド、下向きであれば下降トレンド、という風にトレンドを把握する上で非常に便利な指標です。
算出期間を変更することで短期・中期・長期のトレンドを把握するのが可能で、短期は5~20・中期は25~50・長期は100~200あたりの期間を設定するのが一般的です。
また、移動平均線は売買のタイミングを図る上でも使用されており、移動平均線にチャートが触れたタイミングが上昇→下降、下降→上昇という風にトレンドの転換点となる場合があるため、移動平均線付近に価格が動いてきたときには要注意です。
レジサポライン
レジサポラインとは上値を抑える抵抗帯であるレジスタンスラインと下値を支える抵抗帯であるサポートラインの総称です。
直近の高値・安値がレジサポラインとして機能することが多く、レジサポラインに触れたタイミングでの反発を狙います。レジスタンスラインに触れたら売り、サポートラインに触れたら買い、といった具合です。
一定の価格内で推移するレンジ相場において有効な手法です。
一目均衡表
一目均衡表は日本人の細田悟一によって開発された国産のテクニカル指標ですが、海外トレーダーの間でも活用されています。一目均衡表は以下の5本の線で構成されています。
・基準線:過去26日間の最高値と最安値の中心線を結んだ線
・転換線:過去9日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線
・先行スパン1:基準線と転換線の中心を26日先に先行させて記入したもの
・先行スパン2:過去52日間の最高値と最安値の中心を26日先に先行させて記入したもの
・遅行スパン:当日の終値を26日前に記入したもの
また、先行スパン1と先行スパン2に囲まれた部分を「雲」と呼びます。これらの5本の線と雲を使って以下のように投資判断を行っていきます。
・転換点が基準線を上抜けたら「買い」
・遅行スパンがチャートを上抜けたら「買い」
・チャートが雲を抜けたら「買い」
これらの事象が重なれば重なるほど強い「買い」のサインとみなされます。また、逆の事象が発生したときには「売り」のサインとなります。
MACD
MACDは移動平均の改良版とも言える指標で、移動平均線よりも売買のタイミングを早く察知できる指標になります。
特に明確な上昇トレンドや下降トレンドが発生している際に効果を発揮します。MACDとMACDシグナルという2本の線を用いて、以下のような投資判断を行います。
・MACDがMACDシグナルを上抜けたら「買い」
・MACDが0ラインを抜けたら「買い」
逆の事象が発生した場合には「売り」のサインとなります。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは統計学を活用して一定の確率で価格が収まる範囲を線で示した指標になります。平均からどのぐらい値動きが発生するのかを算出し、値動きの収まりやすい価格帯を判別できます。
上のレンジを+1σ、下のレンジをー1σと呼びます。また、これを2倍したものを+2σ~ー2σの範囲に収まる可能性は95.4%となります。
テクニカル分析実践編!
先に紹介したテクニカル分析の手法を使いながら、実際の活用方法を学んで見ましょう。
テクニカル分析を活用したトレードの例
まずは、移動平均線を活用したトレード例を見てみましょう。
図はポンド/円の15分チャートに移動平均線を短期・中期・長期で3本引いたものです。図の黄色のマルでは長期線である青色に移動平均線が上向きになっているので上昇トレンドと判断できます。
黄色のマルの部分ではチャートが中期の移動平均線に触れるのを機に反発していることが読み取れます。すなわち、ここが「買い」のポイントとなります。トレンドをつかんで、エントリータイミングを図る。これが移動平均線を活用したトレード手法の基本となりますので、覚えておきましょう。
次にMACDを使ったトレード例を見てみます。
図は米ドル/円の4時間足のチャートです。
図の黄色いマルの箇所ではMACDがシグナルを下抜けたタイミングで下降トレンド入りしており、反対にMACDがシグナルを抜けたタイミングで上昇トレンドに転じていることがお分かりいただけると思います。
このようにMACDは売買のタイミングを図るのに非常に適したテクニカル分析となります。
テクニカル分析の注意点・失敗例
テクニカル分析を活用したトレードはいかなる場合でも万能ではありません。FXの世界においては100%予想が的中することはあり得ませんので、過信は禁物です。
ここではテクニカル分析を活用する場合の注意点をお伝えします。
長期と短期のトレンドの違いに注意!
移動平均線などを活用したトレンド把握の方法をお伝えしましたが、長期足と短期足でトレンドが逆になっている場合もありますので注意してください。
基本的にトレンドは長期足の大きなトレンドに引っ張られることが多いので、テクニカル分析をする際には長期足から見て徐々に短い時間軸のチャートを見るようにするとトレンドのズレを把握できるでしょう。
一つの時間軸のチャートで投資判断をしてしまうのは危険です。
トレンドが把握できていないのに取引してしまう!
FXの世界ではわかりやすいトレンドが発生している相場ばかりではありません。時には非常に不規則な動きが続き、上昇トレンドなのか下降トレンドなのか、はたまたレンジ相場なのか把握できない場合があります。
そのようなときは取引を見送るのが正解です。
「早く買わなきゃ!」という欲求に駆られて、無理矢理にテクニカル分析の解釈を曲げて取引してしまっては何の意味もありません。FXでは自分の決めたルールを守るメンタルも重要です。
まとめ
テクニカル分析を使う指標は数多くありますが、トレンド把握を目的としたもの、売買タイミング把握を目的としたものなど用途はそれぞれ異なります。複合的に使うことで、より精度の高いトレードにつなげることが可能になります。
是非、様々なテクニカル分析にチャレンジしながら、自分なりのルールを探してみてください。