移動平均法を使ったFXのトレード手法に「移動平均線乖離率」を使ったものがあります。
デイトレードやスイングトレードで5分足ではなく、1時間足を使っているというような方も多いかと思います。
そこで、今回は、ユーロ円の1時間足の移動平均線乖離幅を検証していきたいと思います。
それでは、移動平均線乖離幅の検証結果を見てましょう。
移動平均乖離率とは?
移動平均線乖離率とは、為替のレートが移動平均線からどのくらい離れているかを示した指標です。
移動平均線乖離率の式は次の通りです。
移動平均線乖離率の算式
乖離率=((当日の終値ー移動平均値)÷移動平均値)×100
価格の移動平均線からの乖離が大きければ、買われすぎor売られすぎにより、価格は移動平均線に引き戻されていく傾向があります。
実際のチャートを見て確認してみましょう。
チャートに表示させているのは、長期移動平均線(200EMA(指数平滑移動平均線))です。
急激に移動平均線から乖離している箇所は移動平均線に引き戻されていることがお分かりいただけるかと思います。
この特性を利用してトレードをして、利益をあげている人もいます。
また、トレンドが発生しているからトレンド方向にエントリーしても、移動平均線からの乖離が大きければ、トレンドとは逆方向に動く(移動平均線に引き戻される)こともあり、損失を出してしまうかもしれません。
移動平均線乖離率を適切に把握することは、トレードする上で、重要であると言えるでしょう。
移動平均線乖離率検証のための前提条件
移動平均線乖離率の検証の前提条件について、説明していきます。
通貨ペア | ユーロ/円 |
ローソク足 | 1時間足 |
使用するテクニカル指標 | 200EMA |
検証機関 | 2019.1.7~2020.7.15 |
計測回数 | 90回 |
検証ツール | Think Trader |
また、移動平均線乖離率は、ローソク足の終値を使って、算出されますが、これでは、ローソク足のヒゲが発生したときに、そのヒゲの乖離分を考慮できないという欠点があります。
したがって、移動平均線乖離幅を計測することとします。
なお、移動平均線乖離幅の算出する式は次の通りとします。
移動平均線乖離幅の算式
高値or安値ー200EMA=乖離幅
移動平均線乖離幅の検証結果
移動平均線乖離幅の検証結果は次のとおりです。
正の乖離幅の回数 | 39回/90回 |
正の乖離幅の平均値 | 1.05円 |
乖離幅の最大値 | 3.78円 |
負の乖離幅の回数 | 51回/90回 |
負の乖離幅の平均 | ‐1.33円 |
乖離幅の最小値 | ‐10.87円 |
乖離幅(絶対値)の平均値 | 1.21円 |
乖離幅(絶対値)の中央値 | 0.94円 |
乖離幅の平均値は1.21円、中央値は0.94円になっています。
分布図を見ると0.6~1.0円がボリュームゾーンとなっており、概ね0.6円~1.0円まで乖離すると200EMAから離れすぎている可能性があり、200EMAに収束していく可能性が高いといえます。
また、ユーロ/円の5分足のデータとも比較してみましょう。
ユーロ/円5分足のボリュームゾーンが0.1円~0.4円なので、1時間足の移動平均線乖離幅は概ね5分足の2~2.5倍程度であるといえるでしょう。
移動平均線乖離幅を使った具体的なトレード方法
移動平均線乖離幅の平均値や中央値を確認できましたが具体的にどのようにトレードに活かせば良いのかわかりにくいと思います。
具体的なエントリーポイントや利益確定ポイントは次のとおりです。
エントリーポイントは、移動平均線乖離幅が十分に確保されたタイミングとなります。
また、肝心の利益確定ポイントは、移動平均線を目安にすると良いでしょう。
ただ、移動平均線は短期、中期、長期、の3種類がありますが、どのタイミングで利益確定するかは相場の動きに合わせて判断する必要があります。
もちろん長期移動平均線(200EMA)にタッチしたタイミングの方が利益幅は大きくなる可能性はあるのですが、そもそも長期移動平均線にタッチせずに価格が逆行することも十分にあります。
例えば、次のような場合、エントリーをして短期移動平均線で利益を確定しなければ、逆行して損失を抱えることになってしまいます。
エントリーポイントや利益確定のポイントは絶対的な法則はなく、地道に練習して感覚をつかんでいく必要があると言えます。
とはいえ、エントリーポイントの目安となるものを3つ紹介しておきたいと思います。
エントリーポイント目安①:プライスアクション
1つ目のエントリーポイントの目安は、プライスアクションです。
移動平均線乖離幅とローソク足の形を見て、逆光の圧力を確認できたらエントリーするという方法です。
次のチャートを見てください。
ローソク足のヒゲが発生していることを確認できます。
買いの勢いに対して、売りの圧力が押し返している証拠ですね。
エントリーポイント目安②:水平線
2つ目のエントリーポイントの目安は水平線です。
目安となるような高値・安値などで水平線が引けるようなタイミングで移動平均線乖離幅がある程度発生している場合、エントリーポイントの目安になります。
上のチャートではかなり前のローソク足の高値で水平線が引けていることが確認できますね。
エントリーポイント目安③:フィボナッチリトレースメント
3つ目のエントリーポイントの目安は、フィボナッチリトレースメントです。
フィボナッチリトレースメントは161.8を目安にエントリーポイントを検討することができます。
具体的なチャートは次の通りです。
フィボナッチの161.8にタッチして200EMAに回帰しているのが確認できますね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は移動平均線乖離幅のユーロ/円(1時間)について、検証してみました。
このような検証は自分でもすることができるので、気になるある手法があれば面倒かもしれませんが過去チャートを使って検証してみることをオススメします。
また、エントリーポイントや利益確定のタイミングは、絶対的な法則はないのであなた自身で検証して適切なタイミングを探していく必要がああることにご注意ください。