皆さんは預金封鎖という言葉を聞いたことがありますでしょうか。預金封鎖とは、その名の通り預金が国によって封鎖されることをいいます。

現代社会において預金封鎖は行われるわけないと思っている方もいるでしょう。しかし富裕層を中心に、日本における預金封鎖は警戒されています

この記事をよんでわかること
・預金封鎖について理解することができる
・預金封鎖


この記事では預金封鎖の実施が警戒されている原因と預金封鎖についてしっかり理解することができます。

預金封鎖とは

預金封鎖とは、先ほども述べましたが、国が預貯金を凍結し、自由にお金を引き出すことができないことを言います。預金封鎖は過去に実際に実施されており、なんと戦後日本でも実施されています。

まずは、過去に起きた預金封鎖の実例について理解してきましょう。

過去の預金封鎖の事例

戦後に預金封鎖を行った国は、以下の7か国になります。

1946年 日本
1990年 ブラジル
1998年 ロシア
2001年 アルゼンチン
2002年 ウルグアイ
2013年 キプロス

2000年に入っても3か国が預金封鎖を行っています。この中から、日本・アルゼンチンの預金封鎖の事例をみていきましょう。

戦後日本

戦後日本の預金封鎖は、1946年2月6日に発表され、翌2月7日に実施されました。当時の日本が預金封鎖に踏み切った理由はずばり、ハイパーインフレです。

ハイパーインフレを生んだ理由は2つです。

①国の借金                                                
②金融資産の膨張


まず、国の借金ですが、当時の日本の借金はGDPの2倍でした。「現在の日本の借金もGDPの2倍くらいある」と思われた方もいると思います。

確かにその通りなのですが、当時の日本と現在の日本では状況が違います。当時の国民は国を信用していなかったので、銀行にお金を預けることをためらっていました。銀行にお金を預けても全額出金するなどの事態が頻発していたのです。

今の日本で銀行を信用できない人は、少ないと思います。もちろんタンス預金をしている人も多いですが、基本的に銀行を信用して大半のお金を預けていると思います。

銀行は出勤に備えて、お金を準備する必要がアリアス。しかし、現在の日本において全額預金を引き出すことはほとんどないため銀行に準備しておくお金は、預金残高の10分の1ですみます。

しかし、当時の日本は、多額の出勤が頻発していたため銀行は預金残高に近い現金を用意しておく必要がありました。

結果として、日本銀行が膨大なお金を刷ることになり、お金があふれかえるようになってしまいました。

お金を乱刷した結果、個人や法人が保有する金融資産はどんどん膨張するようになったのです。金融資産が膨張しても食料品などの生産量は変わらないので当然ですが、モノの値段が大きく上昇することになりました。お金の買いが下がり、モノの値段が上がるハイパーインフレが起こってしまったのです。

アルゼンチン

アルゼンチンが預金封鎖を行ったのは、深刻な経済危機と財政問題に対処するためでした。1990年代後半から2000

年代初頭にかけて、アルゼンチン経済は急激な成長と深刻な不況を繰り返し、経済の不安定性が国民の信頼を失わ
せ、銀行システムに対する不信感を生み出しました。

当時、アルゼンチン・ペソはアメリカ・ドルに連動する形で固定相場制を採用していましたが、経済が悪化する中でこの
固定相場制を維持することが困難になりました。ペソの価値が急落するリスクが高まり、外貨準備も減少していったの
です。

さらに、政府の財政赤字が膨らみ、公的債務が増加する中で、アルゼンチンは借金返済に苦しむようになりまし
た。特に対外債務の返済が困難となり、デフォルトのリスクが高まっていました。

このような経済的背景の中、経済危機が深刻化するにつれて、多くの市民が銀行から預金を引き出そうとしました。こ
れにより、銀行システム全体が崩壊する危険が高まりました。銀行取り付け騒ぎが続くと、金融システムが完全に麻痺
する可能性があったのです。

そこで、アルゼンチン政府は2001年12月に預金封鎖を行い、国内の預金者が銀行から自由にお金を引き出せないようにしました。これは、経済の安定化を図り、金融システムの崩壊を防ぐための緊急措置でした。

しかし、これにより多くの市民が生活資金を引き出せなくなり、大きな社会的混乱を引き起こしました。この預金封鎖は、政府の信頼をさらに失わせ、アルゼンチンの経済危機を一層深刻化させる結果となりました。

預金封鎖の原因

今のところで戦後の日本とアルゼンチンの預金封鎖の実例について説明してきました。預金封鎖を実施する主な原因は2つです。

1.金融危機または経済危機

  • ハイパーインフレーション 物価が急激に上昇し、貨幣の価値が急速に減少する現象です。これにより、政府は経済の安定を図るために預金封鎖を行うことがあります。
  • 銀行の破綻 多数の銀行が倒産する場合、預金者が一斉に資金を引き出そうとすると銀行システム全体が崩壊するリスクがあるため、政府は預金封鎖を行うことがあります。

2.財政危機

  • 国の債務危機 国が財政的に困窮し、デフォルト(債務不履行)のリスクが高まった場合、政府は預金封鎖を行い、国民の預金を凍結して一時的に資金を確保しようとすることがあります。
  • 税収不足 国家の財政収入が大幅に不足している場合、預金封鎖を通じて資金を強制的に調達する手段として利用されることがあります。

預金封鎖に対抗する方法

預金封鎖に対抗する方法は、円以外の資産を保有することです。日本の金融機関に外貨預金を持っている場合は、預金が引き出せなくなってしまう可能性があります。

しかし、海外の金融機関に外貨を保有すれば、日本の法律が届かないことになるので、資産を保有することができます。